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IESBAによる新基準

会計士の倫理基準を開発する国際会計士倫理基準審議会(IESBA)は、企業の行き過ぎた租税回避行動を減らすため、税負担計画(タックスプランニング)の策定を支援する会計士向けの倫理基準を開発し、2025年7月から適用するそうです。出典:2024年6月26日付日本経済新聞電子版過度な節税指南に待った 会計士倫理の国際組織が新基準 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

報道によると、「IESBAは財務諸表監査を担う会計士向けの倫理基準を既に策定しており、日本を含む世界130国以上の国・地域が自国の制度に取り入れて」おり、「今回の基準はこれとは別に新設した」とのことです。

この点、異なる文脈からですが、同じIESBAのメンバーによる「おそらく倫理規程をこれ以上分厚くしても、かえって条項を順守することで手一杯になってしまい、抜本的な解決にはならないだろう」というコメント(1)は傾聴に値すると思いました(2)。また、IESBAのこのような取り組み(3)が、日本の会計・監査に何らかの影響を与えるかどうかも気になるところです(4)

(1)出典:井村知代(2024)「サステナビリティと会計事務所等の文化及びガバナンスについて-監査の実務家以外の視点から」『会計・監査ジャーナル』No.828、pp.2-3。

(2)他に重要なポイントとして、「各ファーム等が主体的に取り組むことと外部の目を入れること」を挙げ、「マネジメント層が経営課題に取り組む姿勢も組織の文化に影響を及ぼし得る」ことを指摘している。

(3)IESBAは、①海外ではサステナビリティ開示に対する保証業務を会計士以外が行うこともあることから、②(IESBAとして)初めて会計士以外が使うことを念頭に置いた倫理基準も新たに開発し2024年末にも確定するとしている。

(4)例えば、公認会計士法2条1項業務および2項業務の範囲については、以前のブログでもふれた。