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SSBJ基準案の解説セミナーに参加する

先日、サステナビリティ基準委員会(Sustainability Standards Board of Japan, SSBJ)による3つのサステナビリティ開示基準案(1)の解説セミナーに参加しました。SSBJが、「基準案に関する情報を包括的にご案内する機会となりますので、コメントの提出をご検討されている方のみならず、サステナビリティ開示に携わる方におかれましても、奮ってご参加ください」という通り、セミナー冒頭、事前アンケートの結果として紹介された参加者の内訳は、6割が作成者でした(2)

3時間強のセミナーを通して色々なことを考えさせられました。第1に、本件基準案がコンバージェンスありき、またはコンバージェンスの制約を所与とすると、研究対象としてどのように位置づけられるのだろうという素朴な疑問です。第2に、やはり保証が気になります。例えば、気候基準案では「産業別ガイダンス」が供されます。しかし適用時の判断は個々の企業に委ねられます。このような建付けによる開示(3)を誰がどのように保証し得るのかは興味深いところです。第3に、そもそも本件基準案が、関連法規制(における趣旨や目的)が定まる前に(平行して)作成される理由(理屈)は何だろうというこちらも素朴な疑問です(4)。なお、本件基準案は、①2024年3月29日に公表され、②7月31日のコメント期限を経て、③2025年3月末の確定基準公表が予定されています。

(1)①サステナビリティ開示ユニバーサル基準公開草案「サステナビリティ開示基準の適用(案)」、②サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第1号「一般開示基準(案)」③サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第2号「気候関連開示基準(案)」。

(2)そのせいかCPDの手続(入退場時のカード読み取り)で待つことはなかった。

(3)サステナビリティ関連財務開示と称されている。

(4)例えば、①金融商品取引法上の取扱いは検討中で、②有価証券報告書提出の後ろ倒しも検討されている。