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株式保有目的の変更

地方銀行を中心に、株式の保有目的を変更する動きが相次いでいるそうです(1)。出典:2024年7月10日付日本経済新聞電子版地方銀行の政策保有株、純投資へ変更9割増 一部は見せかけ懸念 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

この点、「機関投資家が成長につながらない政策株の削減を求める動きが強まっていることが背景にあ」り、「金融庁は、上場企業を対象に政策株から純投資への振り替えが適切に実施されているかを調査する」そうです。これに対して、「地方経済は人口減少で資金需要は伸び悩んでおり、日銀の緩和的な金融政策で、貸出金利も長く低位で推移している。政策株からは配当収入も得られるため、維持したいとの思惑が働きやす」く、「地銀は売却しても資金の運用先が乏しいのが実情」なのであれば、正々堂々とcomply or explainの議論を通して、「成長に寄与する資本効率の向上」を目指すことが経営のshould beでしょうか。

それにしても、例えば、金融商品実務指針281項において、「本報告では、保有目的区分を厳格にすることにより判断の恣意性を排除することとしており、原則として取得当初の保有目的を取得後に変更することは認めず、第80項に示すとおり、保有目的区分の変更が認められる場合を限定している。」にもかかわらず、「株式の保有目的を変更する動きが相次いでいる」事実を興味深く感じました。

(1)上場企業が、取引先との関係維持などの政策保有目的から純投資目的に振り替えた金額は2024年3月期に6,379億円と前の期から9割増え、そのうち地銀73行・グループは4倍の4,650億円と全体の7割強に達したとのこと(金融機関全体の振替額は5,068億円)。